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小話しかない。雲雀と綱吉しかいない。      2008.02.16開設。
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 そこは夢みたいに綺麗な所だった。




***
パイナップル君の誕生日だったんで書いてみました。
むくつなむく?苦手な人は読まないでね。



そこは夢みたいに綺麗な所だった。



「むくろーどこー?」


空は澄み渡って、花が咲き乱れて。踏み慣らされた石が白く、どこかへ続いていた。
どうやって行けばいいのか分かってるみたいに足が進む。

鳥が囀っている。


「むくろーお」


あっちだよ、と言ってるような囀りだ。

零れるような木陰や幾つも連なった花のアーチ、更には小さな噴水まで横切り、白い石畳はぽっかりと丸く切り取られた庭に出た。
中央に大きな鳥籠みたいな白っぽい建物がある。石はそこへ続いていた。


「またあなたですか」


背を向けていた藍色の髪が振り向いた。迷う事なく合わされる赤と青の眼差し。
時々訪れると決まって読書をしているこの人は、ここでは幾分穏やかな表情をしている。


「うん。えへへ」


見付けたことが嬉しくて、へろへろ笑いながらその鳥籠にお邪魔する。
筒情の籠は外側に椅子が作ってあり、中央に小さなテーブルがある。全てに蔓が這い、所々で花が芽吹いている。


「綺麗だよな、ここ」
「静かだったら更に良いんですが」
「そういうことゆーな」


なんて言いつつ、テーブルの上のポットにはまだ温かい紅茶があるのだ。自分でカップに注ぐ。おれが来るのを待っていてくれたんだ。

花の匂いと紅茶の湯気、本がめくられる渇いた音と、時々吹く風。鳥籠の上で鳥が巣を作っている。

そんな幸せの中で青い髪を揺らし、目を伏せている人はこの世界の闇を全て吸い取ったみたいに、深い影をしている。


「…ねぇ、むくろ」


差し延べた手は頬に触れていた。驚いたように瞬きがされ、跳ねるように見上げられる。
綺麗な目。おれが左に赤く、右に青く映っている。


「またここ、来ても、いい?」


擦り寄るように頭を抱きしめて告げる。闇に触れているのに、花の香りがする。


「………………好きにしなさい」

 


だってお前の夢はこんなに綺麗だから。









***
頭の中がお花畑です。本社からの帰り道の2時間でノートに書き、物足りなくてケータイでデジタル化した話。
ひばつなの傍らむくつなむくとか、ちょっと、ありがち過ぎ。
今度は死にネタをだーっと書きたいなーあ。
誕生日ちっとも関係ないなーあ。

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