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綱吉は寝穢い。揺すっても抓っても起きやしないから、やっぱりこういうことになる。
「むぐ」
片手で頭を掴むようにして、向かせた唇にキスをする。少ししないと起きないから、暇な片手はパジャマの隙間から肌を撫ぜていく。
***
遅くなって申し訳ありません委員長!!やっと書き終わりました誕生日!!
めさくさ甘っっっいです続きからぞうぞ!!
綱吉は寝穢い。揺すっても抓っても起きやしないから、やっぱりこういうことになる。
「むぐ」
片手で頭を掴むようにして、向かせた唇にキスをする。少ししないと起きないから、暇な片手はパジャマの隙間から肌を撫ぜていく。
「ん、う」
体が強張ってきた。そろそろだろう。
身を捩る綱吉に圧しかかるようにする。段々としかめっ面になってきた。
困った顔なのが可愛い。
目が覚める前に、と薄っぺらい胸の真ん中に触れようとした時、電話が鳴った。
「むあ」
小さく鳴いて、綱吉は目を覚ました。至近距離で僕を見て固まっている。
コールは続いている。
ベッドの脇のローテーブルの上にある携帯電話を手を伸ばして取ってやると、煩く鳴るそれを握り締め、綱吉は声にならない声を上げる。
僕の腹を押して、綱吉はやっと逃れる。
「う、もう、」
真っ赤にした顔を隠しながら、電話を確認して出る。急用だろう。焦った声に仕事の口調で答える。
「僕はもう行くから」
目を見て言うと、待って、という目で答えられる。でも赤ん坊の車は時間ぴったりに家の前に着いている。
髪をひと撫でして、行こうとする腕を捕まれて、緩く振り返る。
電話の合間に綱吉が背伸びして、僕にキスしてきた。
閉じた目元が赤いのを見て、少し笑う。
「じゃあ行って来る」
見せられないとでも言うように顔を逸らしたままの綱吉に見送られ、仕事へ向かった。
その日は何故か、やけに忙しく。やってもやっても書類は減らないし時間は気まぐれに早くなったり遅くなったりした。
「う…空が見たい」
背後にある窓を振り返る余裕もないくらいだった。
「なんで寄りによってこの日に…!!」
何杯目かのコーヒーを啜り、眩しい顔で壁掛けの時計を見る。振り子時計は22時を指していた。
「もうこんな時間だし…」
はあ、と息を吐く。そうすると穴の開いた風船みたいに力が抜けて、万年筆を持ったまま書類の上に突っ伏してしまう。
あのひとは今何してるだろう…。
今日は東に偵察のあと、同盟ファミリーに話し合いだった。リボーンが居ないのはそのせい。
一人ぼっちの執務室でチクタクチクタク、時計が時間を刻んでいく。
あの人の日は少しずつ少しずつなくなっていく。
「………ふがいない…」
会いたい。
思ってるのに言葉には出なかった。不思議と切なさなんてないのだった。
自宅のキッチンには用意しておいたケーキもシャンパンもあるし、帰ったらそれらを摘むくらいなら出来る。
でもそれだけでは満足は出来ない。出来るわけがない。
本人がそこに居ないのに、誕生日も何もないのだ。
結局帰ったのは9時半。シャワーを浴びて、ケーキやらを準備し終わったら10時を過ぎていた。
遅いなあ…。
早く帰ってきてくれないだろうか。報告書なんてリボーンに任せて、直ぐに俺のところに。
そう思えば思うほど、時間が長く感じる。
明るくないリビングのソファで、疲れに任せて眠ってしまった。
赤ん坊をアジトに下ろして帰ると、綱吉はまた寝ていた。
今日はサポートが居ないから疲れたんだろう。膝を抱えて小さくなった肩が上下している。
テーブルの上を一瞥して、僕はソファに座る。綱吉の体を引き寄せてすっかり腕の中に閉じ込める。
「んん」
口を塞いで、30秒待つ。その少しの時間の長いこと。
誕生日を嬉しがる歳でもないのに、今日は朝のことばかり考えていた。この恋人が寝穢いのが悪いのに。
早く起きろ。まどろみの中の綱吉を襲いながら、僕は言葉を待っていた。
***
もう何も言いたくないけど、その、誕生日おめでとうございます委員長…。
日付偽装は拳で制裁を…!!