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くだらないことと君は思ってるだろう。けど本当にくだらなかったら僕が怒ったりすると思うかい。
くだらなくないから吹っ飛ばしたんだよ。
この馬鹿。
スガラさんから頂いた話の雲雀サイドを書いてみました。無駄に10年後設定。
続きからどうぞ。
くだらないことと君は思ってるだろう。けど本当にくだらなかったら僕が怒ったりすると思うかい。
くだらなくないから吹っ飛ばしたんだよ。
この馬鹿。
アジトでの僕の領域でいつも通り朝の予定確認と指示をして、デスクで仕事を始める。
始める、けれど、頭には入って来なかった。ひとつ息を吐く。ペンを放ると立ち上がった。
「恭さん」
「気が乗らない。散歩してくる」
哲が呼び止めるのを言い訳して、常夜灯が照らす狭い通路を歩く。ネクタイがうざったい。
とりあえず和室に来て、スーツのまま座する。茶の一杯でも言っておけばよかった。
適当に詰んである本やらを漁り、適当に選んで取り出す。音のない空間で、文章に没頭する。
しばらくして、部屋の外に関係者以外の気配がした。どんどん近付き、ドアの向こうにまで来る。
「……あの…」
声はあの子だった。こちらの気配に気付いているようだ。ひばりさん、と問いかけてくる。
「…なに」
「…あっその…入ってもいいですか」
迷わず入ってくればいいのに。声に反応してか、ヒバードがどこからか飛んで来て、僕の頭の上で扉を見ている。
「入れば」
「あ、…はい…」
静かな滑車音をさせて自動扉は開いた。綱吉は目を泳がせていたけど、すぐにこ
ちらを見た。
***
沢田の修行を見ている時だった。2時間ぶっ続けで戦い続け、相打ちにしてやって休憩をとっていた。
冷たい水を飲み下し、一息ついて、言ったのだ。
「みんな馬鹿みたいだ」
やけに冷めていて淀みない声だった。
「俺みたいなダメな奴に関わったせいで、傷ついたり戦わなきゃならなくて、俺より頑張ってる。
辛いことも嫌なことも、誰も何も文句を言わない。
馬鹿みたいだ。いろんなことをもっと、言えば、楽になるかもしれないのに」
気が付いたら無防備な彼を吹っ飛ばしていた。哲が止めに入る暇なんてなかった。
後方の壁に放物線を描いて『落ちていく』沢田に怒鳴りつけていた。
「誰でも好きで戦ってる訳じゃない。重いものを抱えてる訳じゃない。
自分の敵だから、自分の感情だから誰かのせいにしないんだ!
自分の敵なら、自分で戦って当たり前だろ!!
何かのせいにするな。自分の荷物は自分で持て!この馬鹿!!」
この声が既に気絶していた沢田に聞こえなかったことから、僕の憂鬱が始まったのだ。
***
「可愛いですねぇ」
沢田は隣に置いた座布団に座り、ヒバードとじゃれている。
言いたいことを言ってすっきりしたらしい。
僕は…なかなか恥ずかしいことを言った気がするから、もう、何も言わず許した。ことにする。
こんなだから、優しいと言われてしまうのだろうか。
呆れた気持ちで小さく息を吐く。綱吉はまた楽しそうに笑った。
「……すいませんでした…」
「…まだ言うの」
違くて、と綱吉は雲雀の方を向く。その目は迷いなく雲雀を見つめる。
「強くなります。強くなりたい…だから、こんな俺だけど…よろしくお願いします」
綱吉が笑うと、雲雀も声なく笑った。
これでいい。と何処か安堵したように思う。
「じゃあ今日もスパルタでいくよ」
「は、はひ…!」
出撃まであと3日。
この子はどんな成長を見せてくれるだろう。
***
あの可愛い話を無理矢理10年後に変換してみましたよ。
雲雀はあんなアツい台詞言わない…。けど、たまには言ったって、いいじゃない…。